2012年1月18日水曜日

カジノ景気に沸くマカオ、賭博業の収入過去最高(読売新聞) - goo ニュース


(読売新聞)

 マカオがカジノ景気に沸いている。

 マカオ政府によると、2011年のカジノを中心とする賭博業の収入は前年比約42%増の約2679億パタカ(約2兆6000億円)と過去最高を記録した。上客の大半は中国人で、うなるチャイナマネーの恩恵に浴している格好だが、中国本土の汚職絡みのカネの流入という難問にも直面している。

 「今日は180万香港ドル(約1800万円)負けたが、明日、中国に戻るまでに取り返してやるさ」

 マカオ半島にある米国系カジノのVIPフロア。「趙」と名乗る中国人男性(46)がたばこをせわしげに吸いながら息巻く。男性は浙江省で産廃処理会社を経営している。資金の出所について言葉を濁しつつも、こう言い放った。

 「商売でもうけた金を増やしたいだけだ。ギャンブルは投資みたいなもんだ」

 東京都世田谷区のほぼ半分の面積に34のカジノがひしめくマカオは、カジノ収入が米ラスベガスの約5倍に達する世界最大のギャンブルの街だ。一昨年の政府歳入796億パタカ(約7600億円)の実に81%がカジノ関連の税収だった。

 これを支えるのは、1回の勝負に大金を投じるVIP客の存在だ。マカオ政府当局者によると、VIPフロアの売り上げはカジノ収入の7割以上。VIPの約8割は中国人だ。1日で2000万香港ドル(約2億円)以上負ける客も珍しくなく、「一般客数千人よりVIP1人に来てほしいのがカジノ側の本音」だという。

 マカオ理工学院が08〜10年に実施した調査では、VIPの24・7%が中国の地方政府高官、21・5%が国営企業幹部だった。問題は彼らの資金源だ。

 「汚職に絡んだカネが相当流れ込んでいる」。外貨持ち出し制限がある中国人のVIPに資金を貸し付ける業者は、こう断言する。汚職に手を染めない限り、高官や企業幹部とはいえ、カジノに大金を投入できるはずはないというのだ。横領した公金をカジノにつぎ込む事件も毎年のように発覚している。

 米議会は昨年10月、中国に関する報告書で、マカオのカジノが中国本土からの不正資金流入の場となっていると警鐘を鳴らした。世界の汚職を監視する民間活動団体の調査でも、汚職が少ない順のランキングで46位とマカオは06年の26位から順位を落とした。

 だが、マカオの民主派議員・呉国昌氏は「中国本土の"黒いカネ"に絞って流入を止めるのは無理な話」とあきらめ顔だ。(マカオで 吉田健一)

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