2012年3月2日金曜日

私は飛行機の中で何を取ることができますか?

Silly Dove Journey Records:機内食

早朝というか深夜というか午前3時半にシンガポールのチャンギ空港に着いたのはいいが,次のオークランド行きは午前8時50分発,まだ5時間以上ある。

とりあえず寝たい。そこで私は事前にチャンギ空港のラウンジ(シンガポール航空のシルバークリスラウンジ)に仮眠施設があるのか調べておいた。インターネットの情報をいろいろ見ていると,どうやらターミナル2のシルバークリスラウンジに仮眠施設があるらしい。

成田からのSQ11便が到着したのはターミナル3。次のSQ281便が出発するのもターミナル3である。しかし,寝ることだけが目的でターミナル2まで行くことにした。

ターミナル2まではスカイトレインという無人の新交通システムが走っている…のだが,深夜は動いていない。ここは24時間運用の空港のはずなのだ� �。

仕方がないので歩いてターミナル2まで行く。いちおう動く歩道(トラベレータ)は使えるが,それでも30分ほど要する。夜明けのチャンギ空港で,こんな大移動をしているのは私だけのようだ。

ようやくターミナル2のシルバークリスラウンジに到着。

「すみません,こちらに仮眠施設がありますか?」
「いえ,ありませんが…お客様はターミナル3の出発なのに,なぜターミナル2へ?」
「あ,いえ,インターネットで調べたら,仮眠施設はターミナル3にはないけれどターミナル2にはあるって書いてあったので」
「ターミナル2もターミナル3も構造は同じで,仮眠施設はありません。ソファだけです」

がっがーん。なんで私は夜明け前のチャンギ空港を延々と30分も歩いてここまで来てしまったのだろうか。それなら最初からターミナル3でぐったりしていればよかった。またターミナル3まで30分歩くのか…? スカイトレインは動いているのだろうか。


どのように目撃機会を作成する

「スカイトレインは何時から動くんですか」
「5時からです」

ただいま午前4時。仕方がないので1時間ほど,無人に近いターミナル2のシルバークリスラウンジでぼーっとする。


なんかインターネットを見る気もしない。ひたすら時間が過ぎるのを待ち,午前5時になった。スカイトレインに乗れるぞ。ターミナル3に行こう。

ターミナル3に着いた。そういえばチャンギ空港には有料の仮眠施設や時間貸しのホテルもある。試しに仮眠施設を使ってみようと思ってフロントに行く。

「3時間で30ドル,ただし共用の部屋でドアなどはありません。シャワーは別料金(8ドル)です」

うーむ。まあ30ドルって2000円しないのだから安いといえば安いが,よーするに仕切りだけがついた大部屋でシャワー別か。なんかアホらしくなってきたので,ラウンジで時間をつぶすことにした。

まずはシャワーを浴びて,のんびりグルーミング。これで1時間。シャワーから出てきて,それでも何か食べよう。シルバークリスラウンジの食事はシティホテルの朝食バフェ並みのメニューが揃っている。といっても,あとで機内食が再び大量に出てくるので,軽くお粥と蝦餃。


車のクラッシュのためにトップ10の理由

そのあとはインターネットで2ちゃんねるを見ながら時間をつぶす。こういうときに2ちゃんねるって重宝する。でも気をつけないと公衆の面前で開けることができない画像などが出てくるからなあ。

ようやく午前8時をまわった。少し空港内をぶらぶらしながらゲートに行けば,ちょうど搭乗時刻だ。チャンギ空港は搭乗直前に手荷物検査を受けるので。早めに移動したほうがいい。

本日の第2レグ(いや,正確にいえば移動2日目の第1レグ)はSQ281便オークランド行き。機材はB777-200。


これでようやくオークランドに帰ることができる。

座席に着くと,キャビンクルーのおねーさんが挨拶に来た。

「おはようございます。私はミミです。ミスター○○,あなたをどうお呼びしたらよろしいでしょうか?」
「あ,じゃあエディと呼んでください」
「はい,エディ,なにかありましたらお気軽に声を掛けてください」

これはびっくり。私はこれまで何十回も飛行機に乗っているが,こんな挨拶は初めてである。そして更にびっくりしたのは,そのあと,このミミ以外のキャビンクルーが,すべて私のことをエディと呼ぶようになったのだ。こちらもミミには「ミミ,ありがとう」などと言うわけである。初めて対面するクルーでありながら,ものすごく親近感がわいてくる。


何maatersすると、背後に何ではありません

このあたりが,シンガポール航空のサービスの神髄といえる。

シンガポール航空のサービスは,まあたしかにシートや食事のレベルは高いけれど,ものすごく良いというわけでもない。キャビンクルーのサービスも,こちらを王様気分にさせてくれる最高のおもてなしとは言えない。

しかし,キャビンクルーのテンションというか自発的な向上心の高さが,手に取るように見えてくるのだ。

たとえば日系の航空会社は,サービスこそ繊細だが基本的にマニュアルどおりである。だから,どのフライトでもそれなりのサービスを提供しているが,いずれも大差なく,特に感動もしない。

しかしシンガポール航空は,私が思うに,個々のキャビ� ��クルーがそれぞれ限られた空間と基本的マニュアルをベースとして,あとは個人の判断で最高と考えるサービスを提供している。これは簡単なことではない。

考えてみれば,きのうの成田からシンガポールまで乗ったSQ11便の日本人クルーも,さらっと「お酒は冷やにしますか,熱燗にしますか」などと訊いてきたが,これも個人レベルで判断しているサービスのような気がする。

つまりシンガポール航空は,サービスに関してクルーが判断する裁量権をかなり大きく与えており,それが結果的にサービス向上となり,「シンガポール航空のサービスは素晴らしい」という評価につながっているのでないだろうか。

素晴らしいサービスとは,おいしい機内食でも,豪華な椅子でも,極楽気分のおもてなしでもない。すなわち� ��フトでもハードでもないのだ。重要なのは各キャビンクルーのスピリッツであり,乗客も,それを適度な緊張感と一体感の中で受け取ることができなければ,何が素晴らしいサービスなのか永遠に理解できないのかもしれない。


なんか講釈が長くなってしまったが,飛行機は離陸していました。


水平飛行に入り,まずは朝食。フルーツサラダから。

朝食メニューのメインコースは,フィッシュボールのライスヌードルを選ぶ。

これは私がこれまで機内で食べてきた麺類の中でいちばん地上の味に近かった。我が家の近くにあるベトナムレストラン漢山を思い出す。

というわけで,シンガポールからオークランドまで約9時間半です。まだ機内で夕食も出てくるのだなあ。後半に続く。



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